サブリース会社から、
「保証賃料を10%下げたい」
「現在の相場では、この家賃では契約を続けられません」
と言われたとします。
オーナーとしては、
「契約書には今の保証賃料が書いてある。納得できないから拒否したい」
と考えるでしょう。
しかし、そこで気になるのが、
「家賃の減額を拒否したら、サブリース会社から契約を解除されるのでは?」
という問題です。
結論からいうと、家賃減額を拒否したからといって、必ずサブリース契約を解除されるわけではありません。
一方で、サブリース業者から契約期間中に解約される可能性自体はあります。
国土交通省も、契約書に「サブリース業者から解約できる」という規定がある場合、契約期間中であっても解約される可能性があると説明しています。
つまり、
「減額を拒否できる」
ことと、
「拒否しても絶対に契約を続けられる」
ことは別の問題です。
家賃減額を拒否すること自体はできる
まず大前提として、サブリース会社から減額請求を受けたからといって、オーナーがその金額をそのまま受け入れなければならないわけではありません。
借地借家法第32条に基づく減額請求についても、国土交通省は、
減額請求を受けた場合でも、そのまま受け入れなければならないわけではなく、協議が必要
と説明しています。
例えば、
サブリース会社「月10万円から8万5,000円に下げたいです」
オーナー「その減額には同意できません」
というやり取りそのものは、特別おかしいものではありません。
問題は、この後です。
「減額を拒否する」と「契約解除される」は別問題
ここを混同してはいけません。
サブリース会社が減額を請求することと、契約を解除することは別の問題です。
仮に契約書に、
「契約期間中、サブリース業者は○か月前に通知することで契約を解約できる」
などの条項があれば、その条項の内容によっては、サブリース会社から契約を終了させられる可能性があります。
国土交通省も、普通借家契約としてマスターリース契約を締結する場合、契約期間中でもサブリース業者から解約される可能性があることを注意点として挙げています。
したがって、
「減額を拒否したら即解除」
ではありません。
しかし、
「減額を拒否しても契約解除の可能性は絶対にない」
とも言えません。
最終的には、契約書の解約条項や契約形態などを確認する必要があります。
サブリース会社は「値下げを断られたから」という理由だけで自由に契約解除できる?
ここも重要です。
サブリース会社が、
「値下げを断られたから、今日で契約終了です」
と一方的に言えば、それだけですべてが決着するとは限りません。
契約書にどのような解約条項があるのか、そしてその契約にどのような法律上の規制が適用されるのかを確認する必要があります。
特に普通借家契約の場合、借地借家法による保護が関係してきます。
国土交通省も、サブリース契約について、オーナー側からの解約には正当事由が必要になる一方、サブリース業者側からの解約についても、契約書の規定などによって契約期間中に解約される可能性があると説明しています。
つまり、
「サブリース会社だから何でも自由に解除できる」
というわけでもなければ、
「オーナーが減額を拒否したら、絶対に解除できない」
というわけでもありません。
では、契約書に「減額に応じなければ解除」と書いてあったら?
ここは契約書を慎重に確認する必要があります。
例えば、
「賃料改定に合意できない場合、サブリース会社は契約を解除できる」
という条項があったとします。
このような条項がある場合には、当然ながら契約解除のリスクを無視できません。
ただし、契約書に書いてあるからといって、法律上どんな条項でも無条件にそのまま有効になるとは限りません。
契約の種類や条項の内容、借地借家法との関係などを確認する必要があります。
したがって、減額を提示されたときには、
「契約書のどこに、どのような解約条件が書かれているのか」
を確認することが重要です。
「30年一括借上げ」でも契約解除の可能性はある
ここで注意したいのが、
「30年一括借上げ」
という営業文句です。
「30年」と聞くと、
「30年間は絶対に契約が続く」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、国土交通省は、契約書にサブリース業者から解約できる旨の規定がある場合には、30年一括借上げなどと表示されていても、契約期間中に解約される可能性があると注意しています。
つまり、
「30年契約」=「30年間絶対に解除されない」
ではありません。
これはサブリースを検討するときに非常に重要なポイントです。
減額請求と契約解除はセットで考える必要がある
サブリースの家賃減額問題では、
「10%下げられるか?」
だけを考えてしまいがちです。
しかし、オーナーにとって重要なのは、
「その減額を拒否した場合、その後どうなるのか?」
まで考えることです。
例えば、
ケース1:減額を受け入れる
月10万円
↓
月9万円
年間では12万円の収入減になります。
しかし契約自体は継続します。
ケース2:減額を拒否して協議する
月10万円を維持できる可能性を探りながら、サブリース会社と交渉します。
双方が合意できれば、その条件で契約を続けられます。
ケース3:協議がまとまらない
減額について合意できず、契約書の解約条項や法律関係を踏まえて、契約終了をめぐる問題に発展する可能性があります。
この場合は、契約書だけでなく、個別の法律関係を確認する必要があります。
「減額を拒否したら解除」と言われたらどうする?
もし実際にサブリース会社から、
「減額を受け入れないなら契約を解除します」
と言われた場合、慌ててサインする必要はありません。
まず確認したいのは次の項目です。
① 減額の根拠
「なぜこの金額まで下げるのか?」
を確認します。
周辺相場なのか、物件の築年数なのか、入居状況なのか。
サブリース業者が借地借家法第32条に基づく減額請求をしようとする場合、減額後の家賃額や設定根拠などについて、オーナーへの説明が必要とされています。
② 契約書の賃料改定条項
「何年ごとに見直すのか」
「どのような方法で改定するのか」
を確認します。
③ 契約書の解約条項
ここが今回のテーマでは特に重要です。
「誰が」
「いつ」
「どのような条件で」
解約できるのかを確認します。
④ 違約金
契約終了に伴って違約金などが発生する契約になっていないか確認します。
⑤ 実際の周辺相場
サブリース会社の提示した「相場が下がった」という説明が本当に妥当なのか、自分でも確認します。
サブリース会社からの「契約解除します」は、そのまま受け入れるしかない?
必ずしもそうとは限りません。
契約解除をめぐって争いになった場合には、契約書の内容や契約形態、法律上のルールなどを踏まえて判断する必要があります。
実際、国土交通省も、サブリース業者による契約期間中の解約可能性を重要なリスクとして説明しています。
つまり、
「解除すると言われた」
ことと、
「法律上、確実に解除できる」
ことは同じではありません。
もし高額なローンを抱えている物件で、契約解除によってキャッシュフローに大きな影響が出るのであれば、契約書を持って弁護士などの専門家に確認してもらうことも検討すべきでしょう。
実は「減額を拒否できるか」より重要なのは契約前
ここまで読むと、
「減額されたら交渉すればいい」
と思うかもしれません。
しかし、サブリースでは契約前の確認が非常に重要です。
契約前に、
- 家賃の見直し時期
- 家賃改定の基準
- 減額請求の可能性
- サブリース会社からの解約条件
- オーナーからの解約条件
- 違約金
- 修繕費
- 原状回復費
- 大規模修繕費
- 免責期間
などを確認しておきましょう。
国土交通省も、サブリース契約の勧誘時に、将来の家賃減額リスクや契約期間中にサブリース業者から契約解除される可能性などを説明しないことを問題となる行為として挙げています。
「家賃保証」なのに、なぜこんな問題が起きるのか?
そもそも「家賃保証」という言葉から、
「契約期間中は決まった家賃が絶対に入り続ける」
と考えてしまうことが問題です。
実際には、国土交通省も、
- 家賃が定期的に見直されること
- 借地借家法第32条に基づいて減額請求される可能性があること
- 契約期間中でもサブリース業者から解約される可能性があること
をサブリースの重要なリスクとして説明しています。
つまり、サブリースの「保証」は、
「30年間、最初に決めた金額が絶対に変わらない」
という意味ではありません。
まとめ:減額を拒否したら必ず契約解除されるわけではない
サブリース会社から家賃減額を提示された場合、
オーナーは必ず減額を受け入れなければならないわけではありません。
減額請求について協議することができます。
そして、
「減額を拒否したら必ず契約解除される」
というわけでもありません。
ただし、契約書にサブリース会社から解約できる規定がある場合などには、契約期間中でも解約される可能性があります。
したがって、重要なのは、
減額を拒否できるか?
だけではありません。
本当に確認すべきなのは、
「減額を拒否した場合、この契約ではサブリース会社にどのような解約権があるのか?」
です。
サブリース会社から減額を提示されたら、まずは契約書の「賃料改定」「解約」「契約期間」の条項を確認し、減額の根拠と合わせて判断しましょう。
そして、契約前であれば、
「家賃はいくら保証されるか」よりも、「その家賃が下がる条件と、下がらない場合に契約がどうなるか」
まで確認しておくことが重要です。