サブリースを検討するとき、非常に気になるのが「保証賃料」です。
「この物件なら月10万円を保証します」
と言われれば、
「10万円が毎月入ってくるなら、ローンを返済しても利益が残りそうだ」
と考えるでしょう。
ところが、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。
そもそも、その10万円という保証賃料は、どうやって決まったのでしょうか?
「周辺の家賃相場の80%程度」
という説明を聞くこともあります。
しかし、実際のサブリースの保証賃料は、単純に「周辺相場×80%」という計算だけで決まるとは限りません。
物件の立地、築年数、間取り、入居需要、想定される募集賃料など、さまざまな要素が関係します。
そして、投資家にとってもっと重要なのは、
「その保証賃料が適正なのか」
だけではありません。
「その金額が、なぜ今の自分に提示されているのか」
まで考えることです。
保証賃料とは何か?
まず、「保証賃料」という言葉を整理しておきましょう。
サブリースでは、オーナーが所有する物件をサブリース会社が借り上げ、その物件を入居者に転貸する仕組みが一般的です。
このとき、
入居者から受け取る賃料
と、
サブリース会社からオーナーに支払われる借上賃料
は同じとは限りません。
例えば、
入居者からの賃料:10万円
オーナーへの借上賃料:8万円
という形であれば、その差額がサブリース会社側の収益や費用などに関係してきます。
したがって、投資家が確認すべきなのは、
「この物件はいくらで貸せるのか」
だけではなく、
「そのうち、オーナーにはいくら支払われるのか」
です。
「保証賃料は家賃の80%」なら簡単に計算できる?
サブリースの説明では、
「周辺相場の80%程度を保証賃料にする」
といった説明を受けることがあります。
仮に周辺の募集賃料が10万円なら、
10万円 × 80% = 8万円
というイメージです。
非常に分かりやすい計算です。
しかし、実際には、
「周辺の家賃相場が本当に10万円なのか?」
という最初の部分から確認する必要があります。
例えば、
- 新築物件の募集賃料
- 実際に成約した賃料
- 現在募集されている競合物件
- 築年数の近い物件
- 同じ間取りの物件
- 駅距離が近い物件
では、条件が違います。
「周辺相場10万円」という数字だけでは、その10万円がどのように算出されたのかまでは分かりません。
保証賃料を考えるときに見られる主な要素
一般的には、次のような要素が保証賃料を考える材料になります。
立地
駅からの距離や周辺環境、地域の賃貸需要などです。
同じ建物でも、駅から徒歩5分と徒歩20分では賃貸需要が異なる可能性があります。
物件の種類
ワンルームなのか、ファミリータイプなのか。
地域によって需要の強い間取りも異なります。
築年数
新築時と築10年、築20年では、同じ賃料で入居者を募集できるとは限りません。
周辺の競合物件
近隣に似たような物件が大量に供給されれば、入居者を獲得するために募集賃料を下げる必要が出てくる可能性があります。
想定される空室率
入居者が常にいるとは限りません。
サブリース会社が物件を借り上げる場合、その後の入居状況も収益に影響します。
管理・運営コスト
物件を運営するためには、管理や募集、修繕などさまざまなコストがあります。
そのため、入居者から受け取る賃料とオーナーに支払う借上賃料には差が生じることがあります。
ここで「それで?」と考えてみる
ここからが重要です。
「周辺相場を基準に保証賃料を決めています」
と言われたとします。
それなら、
「その周辺相場はいくらなの?」
と聞きたくなります。
10万円だとします。
では、
「なぜ10万円なの?」
となります。
近隣の募集物件を調べて10万円なのでしょうか。
それとも、過去の成約事例なのでしょうか。
さらに、
「その10万円で、本当に今後も入居者を確保できるの?」
という疑問が出てきます。
そして、
「10万円で貸せなくなったら、保証賃料8万円も維持できるの?」
というところまで考えることができます。
つまり、
「保証賃料は何%か」だけを考えても、本当の意味では保証賃料の妥当性は分かりません。
保証賃料が高く設定されているように見える場合は?
ここは投資家として一度立ち止まって確認したいところです。
例えば、
周辺相場:10万円
提示された保証賃料:9万5,000円
だったとします。
一見すると、
「95%も保証してくれるなら非常に条件がいい」
と感じるかもしれません。
しかし、ここで考えるべきなのは、
「なぜ95%で成立するのか?」
です。
周辺相場10万円という数字が、
- 本当に成約する賃料なのか
- 新築時だけの賃料ではないか
- 競合物件を十分に考慮しているか
- 将来の賃料下落を考慮しているか
などを確認する必要があります。
「保証率が高い=投資家にとって必ず有利」
とは限りません。
現場で感じた「保証賃料」の違和感
ここは、一般的なサブリース解説ではあまり触れられない部分かもしれません。
私はサブリース会社で働いていた経験があります。
そこで感じていたのは、
保証賃料は、単純に「周辺家賃の何%」という機械的な数字では捉えられない
ということです。
そして、投資家に提示される保証賃料を考えるとき、
「この物件をいくらで貸せるか」
だけではなく、
「この投資商品を成立させるために、最初にどのような賃料設定がされているのか」
という視点も必要だと感じていました。
例えば、投資物件では、
「この保証賃料ならローン返済をしても収支が成立する」
という数字が非常に重要になります。
だからこそ、投資家としては、
「この保証賃料は、物件の賃貸市場から自然に出てきた数字なのか?」
それとも、
「投資商品として成立させるための収支計画の中で設定された数字なのか?」
という視点を持っておく価値があります。
もちろん、個別の物件や契約によって事情は異なります。
だからこそ、最初に提示された数字をそのまま信じるのではなく、根拠を確認することが重要です。
「保証賃料が高い=良い物件」とは限らない
例えば、
A物件
周辺相場10万円
保証賃料8万円
B物件
周辺相場10万円
保証賃料9万5,000円
なら、B物件のほうが条件が良く見えます。
しかし、
「なぜB物件は9万5,000円なのか?」
を調べなければ、本当にB物件のほうが有利なのか分かりません。
もし周辺相場10万円という前提そのものが、新築時の募集賃料などに基づいているのであれば、話は変わります。
重要なのは保証率ではなく、
「その保証賃料が、どのような根拠から生まれた数字なのか」
です。
保証賃料は「現在の収支」だけでなく「将来」も見る
もう一つ重要なのが時間です。
新築時に、
周辺相場:10万円
保証賃料:8万円
だったとしても、
10年後も同じ相場とは限りません。
例えば、
新築時:10万円
10年後:8万5,000円
となれば、同じ8万円という保証賃料でも、その意味は変わってきます。
さらに固定期間終了後に賃料改定がある契約なら、将来的には借上賃料そのものが見直される可能性があります。
つまり、
「今の保証賃料が妥当か」
だけではなく、
「その保証賃料が将来も投資を支えられるのか」
まで考える必要があります。
保証賃料を見るときに確認したい5つのこと
契約前なら、少なくとも次の点を確認しておきたいところです。
1.保証賃料はいくらなのか
まずは具体的な金額を確認します。
2.その金額の根拠は何なのか
「周辺相場の○%」なら、その周辺相場がどのように算出されたのかを確認します。
3.入居者向けの募集賃料はいくらなのか
オーナーが受け取る借上賃料だけではなく、実際に入居者にいくらで貸す想定なのかを確認します。
4.いつまでその金額が維持されるのか
保証賃料の固定期間と、その後の改定条件を確認します。
5.保証賃料が下がった場合でも投資が成立するのか
10%、20%など複数のケースを想定して、ローン返済や維持費を含めて収支を計算します。
「保証賃料はいくらですか?」だけでは足りない
サブリースの説明を受けたとき、
「保証賃料はいくらですか?」
と聞くだけでは、まだ十分ではありません。
むしろ、
「その金額は何を根拠に決めたのですか?」
と聞いてみる。
さらに、
「周辺相場はいくらで、その根拠となる物件はどこですか?」
「固定期間終了後はどうなりますか?」
「賃料が下がる場合、どのような条件で見直されますか?」
と掘り下げていきます。
こうしていくと、「保証賃料」という一つの数字が、単なる収支計画上の数字ではなく、どのような前提から作られた数字なのかが見えてきます。
まとめ|見るべきなのは「保証率」ではなく、その数字の根拠
サブリースの保証賃料は、物件の立地、間取り、築年数、周辺相場、賃貸需要など、さまざまな要素を踏まえて設定されます。
しかし、
「周辺相場の80%だから適正」
と単純に考えることはできません。
重要なのは、
「そもそも周辺相場はいくらなのか?」
そして、
「その保証賃料は、なぜその金額になったのか?」
です。
さらに、
「その金額はいつまで続くのか?」
「将来減額された場合でも投資は成立するのか?」
まで考える必要があります。
サブリースの保証賃料を見るときは、
「いくら保証してくれるのか?」
だけではなく、
「なぜ、その金額を保証できるのか?」
と考えてみてください。
この一歩踏み込んだ視点を持つだけでも、サブリースの収支計画を見る目は変わってきます。
そして、もし提示された保証賃料が周辺相場に対して不自然に高く見えるのであれば、
「なぜ最初から、この金額で設定されているのか?」
という別の疑問が生まれます。
そこには、サブリースを理解するうえで、もう一段深い論点があります。