サブリースでは、「オーナーが受け取る保証賃料」と「入居者が実際に支払う家賃」が同じとは限りません。
たとえば、入居者が毎月10万円を支払っているのに、オーナーに支払われる保証賃料が8万5,000円というケースがあります。
では、なぜ1万5,000円もの差があるのでしょうか。
結論からいうと、サブリースではオーナーと入居者の間にサブリース会社が入るため、それぞれの賃貸借契約で賃料が別々に設定されることがあります。
この記事では、
- 保証賃料と入居者家賃の違い
- なぜ金額に差が出るのか
- 差額は誰の収益になるのか
- 入居者家賃が保証賃料より高い場合
- 入居者家賃が保証賃料より安くなった場合
- 「家賃の80%保証」とはどういう意味なのか
について、オーナー側から分かりやすく解説します。
サブリースでは「2つの家賃」が存在する
まず、サブリースの基本的な契約関係を理解しておきましょう。
一般的なサブリースでは、
オーナー → サブリース会社 → 入居者
という3者の関係になります。
オーナーとサブリース会社の間には、物件を借り上げるための契約(マスターリース契約)があり、サブリース会社と入居者の間には転貸借契約があります。
国土交通省も、サブリースについて「サブリース業者がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸する仕組み」と説明しています。
そのため、家賃も大きく分けて2種類あります。
① オーナーが受け取る「保証賃料」
これは、オーナーとサブリース会社との契約で決められた賃料です。
たとえば、
保証賃料:月8万5,000円
と契約されていれば、契約条件に従ってサブリース会社からオーナーへ8万5,000円が支払われます。
② 入居者が支払う「入居者家賃」
こちらは、サブリース会社と入居者との間で決められる家賃です。
たとえば、
入居者家賃:月10万円
という契約なら、入居者はサブリース会社に10万円を支払います。
つまり、
入居者 → サブリース会社:10万円
サブリース会社 → オーナー:8万5,000円
という流れになることがあります。
この場合、単純化すると差額は1万5,000円です。
なぜ保証賃料と入居者家賃が違うの?
最大の理由は、オーナーとサブリース会社、サブリース会社と入居者が、それぞれ別の賃貸借契約を結んでいるからです。
サブリース会社はオーナーから物件を借り、それを入居者に転貸します。
したがって、サブリース会社が入居者から受け取る賃料と、オーナーに支払う賃料が必ず同額になるわけではありません。
この差額から、サブリース会社は管理業務にかかる費用や空室リスクなどを負担し、事業として利益を得ることになります。
ただし、「入居者家賃との差額=すべてサブリース会社の利益」と考えるのは正確ではありません。
人件費、募集費用、管理費、修繕対応、空室リスクなど、事業運営にはさまざまなコストが発生するためです。
「家賃の80%保証」とは何を意味する?
サブリースの説明では、
「家賃の80%を保証します」
などという表現を見かけることがあります。
ここで注意したいのが、**「何の家賃に対する80%なのか」**です。
たとえば、入居者家賃が10万円で、オーナーへの保証賃料が8万円なら、
10万円 × 80% = 8万円
となります。
しかし、実際の契約では単純に「現在の入居者家賃×80%」という計算になっているとは限りません。
契約時にオーナーとサブリース会社との間で保証賃料そのものが設定されている場合もあります。
そのため、
「80%保証だから、入居者が10万円払えば必ず8万円もらえる」
と考えるのではなく、契約書に記載された賃料額・賃料改定条件・保証条件を確認することが重要です。
国土交通省は、サブリース契約について、将来の借上げ家賃の変動条件などを契約前に説明することを求めています。
入居者家賃が保証賃料より高い場合はどうなる?
たとえば、
- 入居者家賃:10万円
- オーナーの保証賃料:8万5,000円
だったとします。
この場合、差額は1万5,000円です。
一般的には、この差額を含めてサブリース会社が事業を運営します。
ただし、具体的な取り扱いは契約内容によって異なります。
特に確認したいのは、
「入居者から受け取った賃料が保証賃料を上回った場合、その差額をオーナーに還元するのか」
という点です。
契約によっては、入居者家賃が上昇してもオーナーが受け取る保証賃料は変わらないことがあります。
その場合、周辺相場が上昇して入居者から10万円、11万円と取れるようになっても、オーナーへの支払いが8万5,000円のままなら、その差額をオーナーが直接受け取ることはできません。
つまり、
入居者家賃が上がることと、オーナーの収入が増えることは別問題
なのです。
では、入居者家賃が保証賃料より安くなったら?
逆のケースも考えてみましょう。
契約当初は、
- 保証賃料:8万5,000円
- 入居者家賃:10万円
だったとします。
ところが、周辺の賃貸相場が下落し、入居者を募集するために家賃を8万円まで下げなければならなくなったとします。
このとき、
入居者家賃8万円 < 保証賃料8万5,000円
となります。
ここで重要なのが、サブリース会社が不足分を負担して保証賃料を維持する契約なのか、それとも保証賃料自体が見直される契約なのかです。
家賃保証だからといって、将来にわたって保証賃料が絶対に固定されるとは限りません。
国土交通省も、サブリースでは契約期間中や更新時などにオーナーへ支払われる家賃が減額される可能性があることを注意喚起しています。
つまり、
入居者家賃が下がる
↓
サブリース会社の収支が悪化する
↓
保証賃料の見直しが行われる可能性がある
という関係を理解しておく必要があります。
「保証されているから安心」とは限らない
ここがサブリースを理解するうえで重要なポイントです。
オーナーから見ると、
「空室になっても毎月8万5,000円が入ってくる」
という契約は、とても安心に見えます。
しかし、その8万5,000円という金額自体が将来も維持されるとは限りません。
国土交通省も、サブリース契約について、家賃の見直しや契約解除の条件などのリスクを十分に説明しないまま契約してしまうトラブルがあるとして注意喚起しています。
したがって、
「入居者がいくら払っているか」
だけではなく、
「そのうち自分はいくら受け取る契約なのか」
さらに、
「その金額は将来どう変わるのか」
まで確認する必要があります。
契約前に確認したい5つのポイント
サブリースの保証賃料を見るときは、次の5点を確認しましょう。
1.現在の入居者家賃はいくらか
「保証賃料8万円」とだけ聞くのではなく、その物件を実際にいくらで貸しているのか確認します。
2.オーナーへの保証賃料はいくらか
入居者家賃と保証賃料を並べて比較します。
3.差額はどのように扱われるか
入居者家賃が保証賃料を上回った場合、その差額が誰に帰属するのかを確認します。
4.保証賃料はいつ見直されるか
「○年間固定」と書かれている場合でも、固定期間終了後の扱いまで確認することが重要です。
5.賃料減額の条件は何か
周辺相場の変化、築年数、空室状況など、どのような条件で保証賃料が見直されるのかを契約書で確認しましょう。
まとめ
サブリースでは、
入居者が支払う家賃=オーナーが受け取る保証賃料
とは限りません。
たとえば、
入居者家賃10万円
に対して、
オーナーへの保証賃料8万5,000円
というように、2つの賃料が存在することがあります。
これは、サブリース会社がオーナーから物件を借り、それを入居者へ転貸するという仕組みだからです。
そして大切なのは、「入居者からいくら取っているか」だけではありません。
オーナーが本当に見るべきなのは、
① 入居者家賃はいくらか
② 自分が受け取る保証賃料はいくらか
③ その差額はどう扱われるか
④ 保証賃料は将来変更されるのか
という4点です。
サブリースを検討するときは、「家賃○万円保証」という数字だけを見るのではなく、入居者家賃と保証賃料の関係、そして将来の賃料改定まで含めて収益構造を見ることが重要です。