サブリース契約では、オーナーが受け取る「保証賃料」と、入居者が実際に支払う「入居者家賃」が異なることがあります。
では、周辺の家賃相場が下落して、入居者家賃がオーナーへの保証賃料を下回った場合はどうなるのでしょうか?
たとえば、
- オーナーへの保証賃料:8万5,000円
- 入居者家賃:8万円
となった場合です。
「入居者から8万円しか入ってこないのに、オーナーには8万5,000円払われるの?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
結論としては、契約上の保証賃料が維持される期間・条件であれば、入居者家賃が保証賃料を下回っても、サブリース会社が契約で定められた保証賃料をオーナーに支払うことがあります。
ただし、ここで注意したいのが、保証賃料そのものが永久に固定されるとは限らないことです。
サブリースでは、賃料改定に関する契約条項を確認することが非常に重要になります。
そもそも「保証賃料」と「入居者家賃」は別の賃料
まず、2つの賃料を区別しましょう。
サブリースでは一般的に、
オーナー → サブリース会社 → 入居者
という関係になります。
オーナーとサブリース会社との間で賃貸借契約があり、サブリース会社が物件を入居者に転貸します。
そのため、
オーナーとサブリース会社の賃料
と、
サブリース会社と入居者の賃料
は別々に設定されます。
たとえば、
- オーナーへの保証賃料:85,000円
- 入居者家賃:100,000円
という状態です。
このとき、入居者から受け取る家賃とオーナーへの支払いには15,000円の差があります。
入居者家賃が保証賃料を下回ったら?
では、周辺相場が下がって、
- 保証賃料:85,000円
- 入居者家賃:80,000円
になったとします。
もし保証賃料が契約上維持されている期間であれば、サブリース会社が入居者から8万円しか受け取れなくても、オーナーに8万5,000円を支払うケースがあります。
つまり、
入居者家賃8万円 < 保証賃料8万5,000円
でも、
オーナーへの支払い8万5,000円
となる可能性があります。
この差額5,000円は、サブリース会社側が負担することになります。
これが、家賃保証型サブリースにおける重要なポイントの一つです。
では、サブリース会社は損をし続けるのか?
ここで、
「入居者から8万円しか取れないのに、オーナーへ8万5,000円払うなら、サブリース会社は毎月5,000円損するのでは?」
という疑問が出てきます。
その可能性はあります。
ただし、サブリース会社は一つの物件だけで利益を判断するとは限りません。
また、契約には賃料改定条項が設けられていることがあり、市場環境や物件の状況などに応じて保証賃料の見直しが行われる場合があります。
そのため、
「一度決まった保証賃料を、入居者家賃が下がっても永遠に支払ってくれる」
と考えるのは危険です。
「保証される期間」と「保証賃料の改定」を分けて考える
サブリースを理解するうえで重要なのが、この2つを混同しないことです。
保証される期間
契約上、一定の条件のもとでオーナーに賃料を支払う期間です。
保証賃料の改定
その保証賃料そのものを、将来的に変更する仕組みです。
たとえば、
契約開始時
保証賃料:85,000円
↓
2年後の賃料見直し
保証賃料:80,000円
ということも考えられます。
この場合、2年間の契約上の条件が維持されていたとしても、賃料改定後はオーナーの収入そのものが下がることになります。
したがって、
「空室でも家賃が保証される」
という説明だけでなく、
「その保証賃料はいくらで、いつ、どのような条件で変更されるのか」
を確認する必要があります。
入居者家賃が下がったからといって、すぐ保証賃料が下がるとは限らない
ここも誤解しやすいところです。
入居者家賃が10万円から9万円になったからといって、必ずその月からオーナーへの保証賃料が10万円から9万円になるとは限りません。
契約上の保証賃料が一定期間維持される仕組みなら、その期間中は契約に従った金額が支払われることがあります。
一方で、契約に賃料改定の仕組みがあり、改定時期を迎えれば保証賃料が変更される可能性があります。
つまり、
入居者家賃の変化
と
保証賃料の変化
は、必ずしも同時に起こるわけではありません。
「家賃保証」のメリットはここにある
この仕組みは、サブリースを利用するオーナーにとってメリットにもなります。
通常の管理委託では、入居者が退去して空室になれば、その期間の家賃収入は基本的にオーナーが失います。
また、家賃相場が下落して募集家賃を下げれば、オーナーの収入も直接減少します。
一方、契約上の保証賃料が維持されているサブリースなら、
入居者家賃が保証賃料を下回った場合でも、契約条件に従って一定額が支払われる
ことがあります。
これは、サブリース会社が一定の空室・賃料変動リスクを引き受けているからです。
ただし「保証=永久固定」ではない
ここがこの記事で最も伝えたいポイントです。
「保証賃料より入居者家賃が安くなっても保証される」
という説明だけを見ると、
それなら、入居者家賃がどんどん下がってもオーナーは安心なのでは?
と思うかもしれません。
しかし、実際には保証賃料の改定条件があります。
サブリース契約によっては、
- 一定期間ごとの賃料見直し
- 周辺相場の変化を考慮した賃料改定
- 物件の経年劣化を考慮した賃料変更
- 契約書に定められた賃料改定条項
などが設定されています。
したがって、
「今、8万5,000円保証されている」
ことと、
「10年後も8万5,000円保証される」
ことはまったく別の話です。
入居者家賃が下がり続けると、最終的にはどうなる?
たとえば、
| 時期 | 入居者家賃 | 保証賃料 |
|---|---|---|
| 契約開始 | 100,000円 | 85,000円 |
| 2年後 | 90,000円 | 85,000円 |
| 4年後 | 80,000円 | 80,000円 |
| 6年後 | 75,000円 | 75,000円 |
というように、市場家賃の下落に合わせて保証賃料が改定されるケースを想定できます。
この場合、最初は「入居者家賃との差額」があったものの、時間が経つにつれてその差が小さくなります。
最終的には、保証賃料そのものが市場の賃料水準に近づいていく可能性があります。
だからこそ、サブリースの収益計画では現在の保証賃料だけを見るのではなく、将来の賃料改定まで考える必要があります。
契約前に確認したいポイント
サブリースを契約する前なら、次の点を確認しましょう。
1.現在の入居者家賃はいくらか
実際に入居者が支払っている家賃を確認します。
2.オーナーへの保証賃料はいくらか
入居者家賃と別に、オーナーへの支払額を確認します。
3.保証賃料の固定期間は何年か
「家賃保証」という言葉だけではなく、固定される期間を確認します。
4.保証賃料はどのような条件で改定されるのか
契約書の賃料改定条項を確認します。
5.入居者家賃が保証賃料を下回った場合の扱い
不足分をサブリース会社が負担するのか、保証賃料自体が見直されるのかを確認します。
6.免責期間はあるか
新築時や退去後などに、サブリース会社からオーナーへの賃料支払いが免責される期間が設定されている場合があります。
「保証賃料」という言葉だけで判断せず、いつから、いくら、どの条件で支払われるのかを確認しましょう。
まとめ
サブリースでは、入居者家賃がオーナーへの保証賃料を下回ることがあります。
たとえば、
入居者家賃8万円
保証賃料8万5,000円
なら、契約上の保証賃料が維持されている期間は、サブリース会社が差額を負担してオーナーに8万5,000円を支払うケースがあります。
これが家賃保証の大きなメリットです。
しかし、
「入居者家賃が下がっても、保証賃料は永久に変わらない」
という意味ではありません。
サブリース契約には賃料改定に関する条件が設けられていることがあり、一定期間が経過すると保証賃料が見直される可能性があります。
そのため、サブリースを検討するときは、
現在の入居者家賃
だけでなく、
現在の保証賃料 → 固定期間 → 改定条件 → 将来の保証賃料
まで確認することが重要です。
「いくら保証されるか」だけを見るのではなく、その保証がどこまで続くのかを見ることが、サブリースの収益性を判断するポイントになります。