サブリース契約では、サブリース会社が入居者から家賃を受け取り、オーナーに保証賃料を支払う仕組みになっています。
そのため、
「建物の修繕費もサブリース会社が払ってくれるの?」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、サブリースだから修繕費をすべてサブリース会社が負担する、というわけではありません。
誰が負担するのかは、契約内容と修繕の種類によって変わります。
特にオーナーが確認したいのは、
「何を誰が負担するのか」
です。
サブリースの修繕費は「全部会社負担」ではない
サブリースでは、サブリース会社が物件を借り上げて管理するため、
「管理している会社が修繕も全部やってくれる」
と思いがちです。
しかし、実際には、
- サブリース会社が負担する修繕
- オーナーが負担する修繕
- 入居者が負担する原状回復費
- 契約によって負担者が変わる修繕
があります。
したがって、
「家賃保証があるから修繕費も保証される」
とは考えないことが重要です。
まず「修繕」と「原状回復」を分ける
修繕費を考えるとき、最初に整理したいのが、
修繕
と
原状回復
です。
例えば、設備が経年劣化して故障した場合と、入居者が故意・過失で壊した場合では、費用負担の考え方が異なります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、原状回復について一定の考え方が示されています。
そのため、
「退去したから修繕費は全部オーナー」
とも、
「入居者が払うからオーナー負担はゼロ」
とも一概には言えません。
オーナー負担になりやすいのは?
サブリース契約でオーナー負担になりやすいものとして、例えば、
- 建物そのものの修繕
- 経年劣化による設備交換
- 大規模修繕
- 外壁や屋上などの修繕
- 給排水設備などの修繕
- 建物全体に関係する工事
などがあります。
ただし、すべての契約で同じとは限りません。
契約によっては、一定範囲の修繕をサブリース会社が負担する場合もあります。
だからこそ、一般論だけで判断せず、契約書を見る必要があります。
サブリース会社が負担する修繕もある
では、サブリース会社は修繕費を一切負担しないのでしょうか。
そうとも限りません。
契約によっては、
- 日常的な小修繕
- 管理上必要となる一定範囲の修繕
- サブリース会社側の責任による損傷
などをサブリース会社側の負担としている場合があります。
例えば契約書に、
「○万円以下の修繕費はサブリース会社が負担する」
といった定めがあれば、その条件に従うことになります。
つまり、
「サブリース会社が何を負担するか」は契約次第
です。
大規模修繕は特に注意
オーナーが最も注意したいのが大規模修繕です。
例えば、
- 外壁塗装
- 屋上防水
- 給排水設備
- エレベーター
- 共用部分
- 大規模な設備交換
などです。
こうした工事は、場合によってはかなり大きな金額になります。
毎月の保証賃料が数万円高いか安いかという話よりも、
一度の大規模修繕で数百万円の支出が発生する
ほうが、オーナーの収支に与える影響が大きくなることもあります。
したがって、サブリースを検討するときは、
「保証賃料はいくら?」
だけでなく、
「大規模修繕は誰が負担しますか?」
と聞いておくことが重要です。
設備の故障はどうなる?
例えば、
- エアコン
- 給湯器
- IH・コンロ
- 換気扇
- インターホン
- 水栓
- トイレ
などが故障した場合です。
これも一律に「オーナー負担」「会社負担」と決まっているわけではありません。
契約内容や設備の所有関係、故障原因などによって扱いが変わることがあります。
特に、
「設備が故障したら誰が交換費用を負担するのか」
は契約前に確認しておきたい項目です。
入居者が壊した場合は?
例えば入居者が、
- 壁を大きく壊した
- 設備を故意に破損させた
- 不注意で設備を壊した
というケースです。
この場合、入居者側に原状回復費用などの負担が発生する可能性があります。
ただし、実際に誰がいくら負担するのかは、損傷の内容や契約、法令などを踏まえて判断する必要があります。
ここでも、
「入居者が壊した=必ず全額請求できる」
とは限りません。
修繕費をサブリース会社が立て替える場合もある
注意したいのが、
「会社が業者に支払った」=「会社が最終的に負担する」
とは限らないことです。
例えば、
- 入居者から故障の連絡
- サブリース会社が業者を手配
- 業者が修繕
- サブリース会社が業者に支払い
- 後からオーナーに請求
という仕組みになっている可能性があります。
この場合、サブリース会社は単に修繕を手配・立替しているだけで、最終的な費用負担者はオーナーです。
ここは非常に勘違いしやすいところです。
「修繕費込み」の契約なら何が含まれる?
サブリース会社から、
「修繕費込みです」
と説明された場合も注意が必要です。
「込み」という言葉だけでは、
何がどこまで含まれるのか
分かりません。
例えば、
「小修繕のみ込み」
なのか、
「設備交換まで込み」
なのか、
「大規模修繕も込み」
なのかでは、意味がまったく違います。
契約書で、
対象となる修繕の範囲
を確認しましょう。
指定業者の問題も関係してくる
修繕費の負担者と一緒に確認したいのが、
「誰が業者を選ぶのか」
です。
例えばオーナー負担なのに、
「修繕業者はサブリース会社の指定業者を利用する」
となっているケースがあります。
この場合、
「費用はオーナー負担なのに、業者を選ぶのは会社」
ということになります。
だからこそ、
- 費用を誰が負担するか
- 業者を誰が選ぶか
- 相見積もりが可能か
- オーナーの承諾が必要か
をセットで確認することが重要です。
契約書では「費用負担」を確認する
サブリース契約書を見るときは、
修繕費の負担
について書かれている部分を探しましょう。
確認したいのは、
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 小修繕 | 誰が負担するか |
| 設備交換 | 誰が負担するか |
| 原状回復 | 誰が負担するか |
| 大規模修繕 | 誰が負担するか |
| 緊急修繕 | 誰が判断するか |
| 業者 | 誰が選ぶか |
| 相見積もり | 可能か |
| 承諾 | オーナーの承諾が必要か |
ここまで確認すると、かなり実態が見えてきます。
「修繕費は誰が負担する?」だけでは足りない
実はサブリースの場合、
「誰が払う?」
だけでは不十分です。
もう一歩踏み込んで、
「誰が決める?」
も確認してください。
例えば、
オーナーが修繕費を負担する
↓
サブリース会社が修繕内容を決める
↓
サブリース会社が指定業者を手配する
↓
オーナーに請求
という契約なら、オーナーは費用を負担する一方で、修繕内容や業者選択について自由度が低い可能性があります。
ここがサブリースの修繕問題で見落とされやすいポイントです。
契約前に聞いておきたい質問
サブリース契約を検討しているなら、担当者に次の質問をしてみましょう。
「修繕費は基本的に誰が負担しますか?」
さらに、
「エアコンや給湯器などの設備交換は?」
「退去時の原状回復は?」
「大規模修繕は?」
「一定額を超える修繕はオーナーの承諾が必要ですか?」
「修繕業者は誰が選びますか?」
「相見積もりは取れますか?」
ここまで聞いて、回答を契約書と照らし合わせることが大切です。
まとめ
サブリースの修繕費は、
「サブリース会社が全部払う」わけでも、「オーナーが全部払う」わけでもありません。
契約内容によって、
- オーナー負担
- サブリース会社負担
- 入居者負担
- 一定範囲ごとの負担
などに分かれます。
特に注意したいのは、
大規模修繕・設備交換・原状回復
です。
そして、修繕費を確認するときは、
誰が払うのか?
だけではなく、
誰が修繕内容を決めるのか?
誰が業者を選ぶのか?
相見積もりを取れるのか?
オーナーの承諾が必要なのか?
まで確認しましょう。
サブリースでは「家賃保証」という言葉に目が行きがちですが、修繕費の負担条件によってオーナーの実際の手残りは大きく変わります。
契約する前に、保証賃料だけではなく、修繕費の負担区分まで確認することが重要です。