「サブリースなら家賃が保証されるから安心」と説明されると、物件にかかる費用についてもサブリース会社が負担してくれると思ってしまうかもしれません。
しかし、家賃保証と物件にかかる費用の負担は別の話です。
サブリース会社から保証賃料が支払われていても、修繕費や税金などをオーナーが負担する契約はあります。
そのため、サブリースを検討するときは、
「いくら家賃が保証されるか」だけではなく、「何の費用が保証・負担されないのか」
まで確認する必要があります。
家賃保証で基本的に保証されるのは「賃料」
家賃保証型のサブリースでは、サブリース会社がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸します。
イメージとしては、
入居者 → サブリース会社 → オーナー
という構造です。
入居者が空室になっても、契約条件に従ってサブリース会社からオーナーへ保証賃料が支払われる仕組みになっています。
しかし、この「保証」はあくまで契約上の賃料についての話です。
建物に発生するすべての費用をサブリース会社が負担するという意味ではありません。
保証されない可能性がある主な費用
代表的なのが次の費用です。
| 費用 | オーナー負担になる可能性 | 確認すること |
|---|---|---|
| 修繕費 | あり | 修繕範囲と負担者 |
| 原状回復費 | あり | 退去時の負担区分 |
| リフォーム費 | あり | 誰が費用を負担するか |
| 大規模修繕費 | あり | 外壁・屋根などの負担者 |
| 設備交換費 | あり | エアコン・給湯器など |
| 固定資産税 | 原則オーナー側 | 契約内容 |
| 火災保険料 | あり | 保険契約者・負担者 |
| 募集関連費用 | 契約による | 広告費など |
| 手数料等 | 契約による | 別途請求の有無 |
※実際の負担区分はサブリース契約によって異なります。
① 修繕費
特に確認したいのが修繕費です。
例えば、
- エアコンが故障した
- 給湯器が壊れた
- 水漏れが発生した
- 共用部分が破損した
- 外壁を修繕する必要がある
といった場合です。
「サブリース会社が管理しているのだから、修理費も会社が払う」とは限りません。
契約によっては、
管理・入居者対応 → サブリース会社
修繕費 → オーナー
という分担になっています。
したがって、保証賃料だけを見て収支計算すると、実際の手残りが想定より少なくなる可能性があります。
② 原状回復費
入居者が退去した場合には、原状回復やクリーニングなどの費用が発生することがあります。
例えば、
- クロス張替え
- ハウスクリーニング
- 床の補修
- 設備の交換
- その他の修繕
などです。
これらについても、
「家賃保証がある=原状回復費も無料」
ではありません。
誰がどこまで負担するのかを契約書で確認する必要があります。
③ リフォーム費
空室対策として、
「この部屋は古くなったのでリフォームしましょう」
と提案されることもあります。
ここでも、
家賃保証とリフォーム費用は別
と考える必要があります。
例えば保証賃料が月7万円でも、数年後に100万円のリフォーム費用が必要になれば、その費用はオーナーの収益を大きく圧迫します。
だからこそ、サブリースの収益性を見るときには、
年間保証賃料 − 修繕・リフォームなどの年間負担額
まで考えることが重要です。
④ 大規模修繕費
さらに大きな問題になりやすいのが大規模修繕です。
アパートやマンションでは、長期間所有すれば、
- 外壁
- 屋根
- 防水
- 共用部分
- 給排水設備
などの修繕が必要になる可能性があります。
こうした費用は数万円の修理とは違い、まとまった金額になることがあります。
そのため、
「毎月7万円保証されるから安心」
ではなく、
「10年後、20年後にどんな費用が発生するのか?」
まで考える必要があります。
⑤ 固定資産税
固定資産税も忘れてはいけません。
サブリース会社から保証賃料を受け取っていても、物件を所有しているオーナーには税金などの所有コストが発生します。
つまり、
保証賃料=そのまま利益
ではありません。
保証賃料からローン返済、税金、保険、修繕費などを差し引いた後に、実際の手残りが決まります。
「家賃保証」と「収益保証」は違う
ここは非常に重要です。
例えば、
保証賃料:月70万円
という契約だったとします。
年間では、
70万円 × 12か月=840万円
です。
しかし、オーナーに840万円の利益が残るわけではありません。
そこから、
- ローン返済
- 固定資産税
- 火災保険
- 修繕費
- リフォーム費
- その他の維持費
などを支払う必要があります。
つまり、
家賃保証 ≠ 利益保証
です。
もっと正確に言えば、
保証されるのは「契約上の賃料」であって、オーナーの最終的な手残りではない
ということです。
「保証されない費用」を契約前に確認する
サブリースの説明を受けたら、「保証されますか?」と聞くだけでは足りません。
次のように具体的に質問すると分かりやすくなります。
「エアコンが壊れたら誰が払いますか?」
「給湯器の交換費用は?」
「退去後の原状回復費は?」
「空室対策のリフォーム費用は?」
「外壁や屋根の大規模修繕は?」
「広告費や募集費用は?」
「固定資産税や保険料以外にオーナーが負担する費用はありますか?」
そして、口頭説明だけでなく契約書や費用負担に関する資料で確認することが大切です。
サブリースの収益を見るときは「保証賃料」だけを見ない
例えば2つの物件があったとします。
A物件
保証賃料:年間840万円
年間オーナー負担:100万円
→ 手元に残る前の差額:740万円
B物件
保証賃料:年間800万円
年間オーナー負担:40万円
→ 手元に残る前の差額:760万円
この場合、保証賃料が高いA物件のほうが、必ずしもオーナーに有利とは限りません。
サブリースを比較するときは、
保証賃料の高さ
ではなく、
保証賃料 − オーナー負担費用
まで見なければ、本当の収益性は分かりません。
まとめ
サブリースの「家賃保証」は、物件にかかるすべての費用を保証するものではありません。
特に、
- 修繕費
- 原状回復費
- リフォーム費
- 大規模修繕費
- 設備交換費
- 税金
- 保険料
- 募集関連費用
などは、契約によってオーナー負担になる可能性があります。
そして最も重要なのは、
「家賃保証」と「収益保証」は違う
ということです。
毎月決まった保証賃料が入ってきても、そこからさまざまな費用が出ていけば、オーナーの手残りは減ります。
サブリースを検討するときは、「月いくら保証されるか」だけではなく、「年間でオーナーはいくら負担するのか」まで計算して判断することが重要です。