「30年一括借上げ」「家賃保証」と聞くと、契約したときに決めた保証賃料が、契約期間中ずっと同じ金額で支払われるように感じるかもしれません。
しかし、「30年契約だから30年間同じ家賃が保証される」という意味ではありません。
国土交通省も、サブリースでは契約期間中や更新時に賃料が減額される可能性があることを明示しています。(国土交通省)
結論:保証賃料は契約期間中ずっと同じとは限らない
サブリースの契約書に「保証賃料○万円」と書かれていても、その金額が契約期間の最後まで固定されるとは限りません。
特に普通借家契約に該当するマスターリース契約では、借地借家法32条の賃料増減請求の規定が問題になります。
国土交通省の資料では、契約書に「○年間は家賃を減額しない」といった内容があった場合でも、一定の要件を満たせば、サブリース会社から賃料減額を請求できると説明されています。(港湾局)
つまり、
長期契約=長期間同じ保証賃料
ではありません。
ここはサブリースを検討する際に非常に重要なポイントです。
なぜ保証賃料が変わるの?
主な理由は、契約後に賃貸市場の状況が変化するからです。
借地借家法32条では、たとえば次のような事情によって現在の賃料が不相当になった場合、賃料の減額・増額を請求できる仕組みがあります。
- 土地・建物にかかる租税などの負担が変化した
- 土地・建物の価格など経済事情が変化した
- 周辺の同種物件の家賃と比較して現在の賃料が不相当になった
国土交通省の資料でも、このような事情を賃料減額請求の判断材料として挙げています。(港湾局)
たとえば、契約時には周辺の家賃相場が10万円だったとしても、
数年後に周辺物件の家賃が8万円になった
↓
現在の保証賃料10万円が市場と比べて高くなる
↓
サブリース会社が賃料の減額を請求する
ということが考えられます。
「2年契約」だから2年間は絶対に下がらない?
ここも注意が必要です。
サブリースでは「2年ごとに賃料を見直す」という契約がよくあります。
しかし、これは、
「2年ごとにしか賃料が変更できない」
という意味と必ずしも同じではありません。
契約上の賃料改定時期と、借地借家法32条に基づく賃料減額請求は分けて考える必要があります。
国土交通省も、契約で家賃改定日が定められていたり、一定期間は減額できないと定められていたりする場合でも、借地借家法32条に基づく減額請求があり得ることを説明しています。(港湾局)
したがって、
「2年間固定と書いてあるから、2年間は絶対に何があっても大丈夫」
と単純に考えるのは危険です。
「家賃固定」と書いてあっても安心できない?
ここは契約書を見るうえで非常に重要です。
たとえば、
保証賃料10万円
契約期間30年間
家賃固定
と書かれていたとしても、それだけで「30年間10万円が確定」と判断することはできません。
国土交通省は、「家賃保証」などの表示について、定期的な見直しがある場合や、借地借家法によって家賃が減額され得ることを表示する必要があるとしています。(国土交通省)
また、契約前には、賃料減額の可能性などについて書面で説明することが求められています。(国土交通省)
つまり、見るべきなのは「家賃固定」という一言だけではありません。
賃料改定条項や減額に関する条項まで確認する必要があります。
保証賃料が下がると何が困る?
一番大きいのは、投資計画が変わってしまうことです。
例えば、毎月10万円の保証賃料を前提にローン返済計画を立てていたとします。
年間の保証賃料は、
10万円 × 12か月 = 120万円
です。
ところが、保証賃料が9万円に下がると、
9万円 × 12か月 = 108万円
になります。
年間で12万円の減収です。
さらに8万円まで下がれば、
8万円 × 12か月 = 96万円
となり、当初より年間24万円少なくなります。
これが10年続けば、単純計算で240万円の差になります。
だからこそ、サブリースでは「最初の保証賃料はいくらか」だけではなく、
将来的にその金額がどうなる可能性があるのか
まで考えておく必要があります。
減額を提示されたら必ず受け入れるの?
ここも誤解されやすいところです。
サブリース会社から減額を請求されたからといって、オーナーが必ずその金額を受け入れなければならないわけではありません。
国土交通省は、減額請求があった場合でも、オーナーとサブリース会社が協議し、相当な賃料額を決めることになると説明しています。(港湾局)
協議がまとまらなければ、最終的に訴訟によって決められる場合もあります。
したがって、
「減額を要求された=翌月から自動的にその金額になる」
と考えるのも正確ではありません。
契約前に確認したいポイント
サブリース契約を結ぶなら、保証賃料の金額だけを見るのではなく、次の項目を確認しましょう。
① 賃料改定の時期
「2年ごと」「契約更新時」など、賃料改定についてどのように書かれているか確認します。
② 賃料減額に関する条項
どのような場合に賃料を見直すことができるのか確認します。
③ 固定期間
「○年間固定」と書かれている場合、その意味を確認します。
単に「○年間は改定しない」という契約上の取り決めなのか、それ以外の法的な問題があるのかを区別することが重要です。
④ 減額の判断基準
周辺相場、物件の築年数、経済情勢など、どのような事情が賃料改定の根拠になるのか確認します。
⑤ 減額後の収支
保証賃料が、
現在の90%になった場合
80%になった場合
など、複数のケースでローン返済後のキャッシュフローを計算しておくと安心です。
まとめ
サブリースの保証賃料は、契約期間が長いからといって、その期間中ずっと同じ金額が保証されるとは限りません。
国土交通省も、サブリースでは契約期間中や更新時に賃料が減額される可能性があることを注意喚起しています。(国土交通省)
特に重要なのは、
- 長期契約=保証賃料が長期間固定、ではない
- 「家賃保証」と書いてあっても減額の可能性がある
- 契約書の賃料改定条項を確認する
- 周辺相場などが賃料改定の判断材料になる
- 減額請求を受けても、必ずその金額を受け入れるとは限らない
という点です。
サブリースを見るときは「30年間いくらもらえるか」ではなく、「30年間で保証賃料がどう変化する可能性があるか」まで確認することが重要です。