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「○年間家賃固定」ならサブリースの家賃は減額されない?

「家賃は10年間固定です」

サブリースの説明で、このような言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。

「10年間も家賃が変わらないなら安心だ」

そう考えるのは自然なことです。

ところが、ここで一度立ち止まって考えてみたいことがあります。

「家賃固定」とは、具体的に何が固定されているのでしょうか?

本当にその期間は一切減額されないのでしょうか。

また、「35年間一括借上げ」といった長期の契約期間が示されていても、35年間ずっと同じ家賃が保証されるという意味とは限りません。

この記事では、「○年間家賃固定」という説明を見たときに、投資家が確認しておきたいポイントを整理します。


「○年間家賃固定」とは何が固定されるのか?

まず確認したいのは、「固定」という言葉の意味です。

一般的には、契約で定められた一定期間について、サブリース会社からオーナーに支払われる借上賃料を一定額とする仕組みを指します。

例えば、

「借上賃料は契約開始から10年間固定」

と記載されていたとします。

この場合、

「10年間、契約上定められた借上賃料が変更されない」という意味なのか

を確認する必要があります。

ここで重要なのは、

「サブリース契約そのものが10年間固定」

という意味ではないことです。

家賃の固定期間と、サブリース契約の契約期間は別の問題として考える必要があります。


「35年一括借上げ」なら35年間家賃も固定なの?

ここは特に誤解しやすいところです。

例えば、

「35年間一括借上げ」

と説明されている物件があったとします。

この数字だけを見ると、

「35年間、家賃を保証してくれる」

と感じるかもしれません。

しかし、

契約期間が35年間であることと、借上賃料が35年間同じ金額であることは別です。

契約書などに、

「借上賃料は一定期間ごとに改定する」

といった規定があれば、長期の契約期間であっても賃料が変動する可能性があります。

したがって、「35年」という数字だけを見るのではなく、

「借上賃料はいくらの期間、どの条件で固定されるのか」

を見る必要があります。


固定期間が終わったら家賃はどうなる?

「10年間固定」という条件なら、次に気になるのは当然、

「11年目からどうなるの?」

ということです。

ここを確認せずに投資判断をするのは危険です。

例えば、

  • 10年間は一定額
  • 11年目以降は一定期間ごとに見直し
  • 周辺相場や物件状況などを考慮して改定

という契約であれば、投資家にとって重要なのはむしろ固定期間終了後の収支です。

10年間の収支が黒字でも、

11年目以降に借上賃料が大きく下がれば、投資全体の収支は変わってきます。

そのため、契約前なら、

「固定期間が終わった後の借上賃料は、どのように決まりますか?」

と確認しておきたいところです。


「固定だから安心」ではなく「固定期間が終わった後」を見る

投資では、最初の数年間だけを見ると判断を誤ることがあります。

例えば、

借上賃料10万円

だったものが、固定期間終了後に、

9万円

になったとします。

1万円の減額だけなら、大きな問題ではないと感じるかもしれません。

しかしローン返済額が8万円なら、

10万円 − 8万円 = 2万円

だった余裕が、

9万円 − 8万円 = 1万円

になります。

さらに固定資産税や修繕費などを考えれば、実際の手残りはもっと小さくなります。

だからこそ、

「固定期間中はいくら儲かるか」ではなく、「固定期間終了後でも投資が成立するか」

を見ることが重要です。


固定期間中なら絶対に減額されないの?

ここは慎重に考える必要があります。

「○年間固定」と契約書に明記されているからといって、契約の具体的な条項や法的な関係を確認せず、

「どんな事情があっても絶対に減額されない」

と考えるのは適切ではありません。

サブリース契約では、借地借家法との関係が問題になる場合があります。

特に賃料減額については、借地借家法32条が関係するケースがあります。

したがって、

「○年間固定」という営業上の説明だけで安心するのではなく、実際の契約書でどのように定められているのかを確認すること

が大切です。

具体的な契約について判断が必要な場合には、契約書を持って専門家に確認する方法もあります。


「家賃固定」と「家賃保証」は同じではない

この2つも混同しないようにしたいところです。

「家賃保証」という言葉から、

「空室になっても、ずっと同じ家賃が入ってくる」

とイメージしてしまう人がいます。

しかし実際には、

保証される金額がどのような条件で決まっているのか

が重要です。

例えば、

  • 借上賃料そのもの
  • 固定される期間
  • 賃料改定の時期
  • 免責期間
  • 契約更新時の条件
  • その他の契約上の例外

などを確認する必要があります。

「保証」という言葉だけを見るのではなく、

「何が・いつまで・どの条件で保証されるのか」

まで具体化して考えることが重要です。


契約前なら「固定期間」よりこの3つを確認したい

もしこれからサブリース契約を検討しているのであれば、単純に「10年間固定」という数字だけで判断しないことをおすすめします。

1.固定される金額はいくらか

まず、毎月いくらの借上賃料なのか。

そして、その金額が周辺の賃料相場と比較して妥当なのかを確認します。

2.固定期間終了後はどうなるか

「10年間固定」なら、

11年目以降の賃料改定ルール

を確認します。

ここを曖昧にしたまま長期の収支計画を作らないことが重要です。

3.減額された場合でもローンを返済できるか

例えば、

「家賃が10%下がった場合」

「20%下がった場合」

など、複数のケースで収支を計算してみます。

重要なのは、

「家賃が下がるかどうかを予言すること」ではなく、「下がったときに自分の投資が耐えられるかを知ること」

です。


現場で感じた「固定」という言葉への違和感

ここは、サブリースの説明を考えるときに、私自身が重要だと思っている部分です。

サブリース会社で働いていると、契約時に提示される「保証賃料」という数字が、投資家にとって非常に大きな意味を持っていることが分かります。

そして、投資家からすると、

「10年間固定」

という言葉は、とても安心感のある情報です。

ただ、私が現場で見てきた中には、

「そもそも、この保証賃料は長期的に見て本当に維持できる水準なのだろうか」

と感じる案件もありました。

これは、「固定期間中に必ず減額される」という意味ではありません。

むしろ問題にしたいのは、

「固定されている期間」だけを見て、投資全体の収益性を判断してしまっていないか

ということです。

契約時点の数字が魅力的に見えるほど、その数字がどのような前提で作られたのかを確認する意味は大きくなります。


「固定期間」を確認するときのチェックリスト

契約書や説明資料を見るときは、次の項目を確認してみてください。

  • 借上賃料はいくらか
  • 何年間固定なのか
  • 固定期間はいつから始まるのか
  • 固定期間終了後はいつ改定されるのか
  • 改定額はどのように決めるのか
  • 周辺相場は考慮されるのか
  • 減額される可能性について記載されているか
  • 免責期間はあるか
  • 契約期間と賃料固定期間は同じなのか
  • 減額された場合でもローン返済が可能か

このチェックをするだけでも、

「35年間一括借上げだから安心」

という見方から、

「自分の契約では、実際に何年間、いくらが、どの条件で支払われるのか」

という具体的な見方に変わります。


まとめ|「○年間固定」より、その後の収支を見る

「○年間家賃固定」と書かれていると、安心材料に見えます。

しかし、投資家が本当に確認したいのは、

「その期間が終わったらどうなるのか」

です。

また、

契約期間=家賃固定期間

とは限りません。

「35年間一括借上げ」といった長期契約でも、借上賃料については別途、改定条件が設定されている場合があります。

だからこそ、契約前には、

何年間固定なのか?

だけではなく、

固定期間終了後はいくらになる可能性があるのか?

その条件は契約書にどう書かれているのか?

家賃が下がっても投資は成立するのか?

まで確認することが重要です。

「固定」という一つの言葉だけで安心するのではなく、その言葉の中身まで確認する。

それが、サブリースの長期収支を考えるうえで大切なポイントです。

なお、実際にサブリース会社から家賃の減額を提示されている場合は、話が少し変わります。

その場合に問題になるのは、

「固定なのに、なぜ減額を提示されたのか?」

そして、

「その減額をどう判断すればいいのか?」

という点です。