サブリース会社から突然、「来月から借上賃料を減額させていただきたい」
と言われたら、どうすればいいのでしょうか。
「家賃保証だから安心だと思っていたのに」
「ローンの返済額は変わらないのに、家賃だけ下がるの?」
「この金額をそのまま受け入れるしかないの?」
と、不安になるかもしれません。
結論からいうと、減額を提示されたからといって、まず慌てて承諾する必要はありません。
一方で、感情的に「絶対に拒否する」と決めるのもおすすめできません。
最初にやるべきなのは、なぜ減額されるのか、その金額は妥当なのかを確認することです。
サブリースでは、契約期間中や更新時に借上賃料が減額される可能性があります。国土交通省も、賃料減額を請求された場合には、変更前の賃料を決定した事情などを総合的に考慮して、協議によって相当な賃料額を決めることになると説明しています。
つまり、提示された金額を見て、
「仕方ない」
とすぐに諦める必要もなければ、
「保証なんだから絶対に下げるな」
と最初から対立する必要もありません。
まずは、減額の中身を確認することから始めます。
まず確認したいのは「なぜ減額するのか」
サブリース会社から、
「周辺相場が下がったため、借上賃料を減額します」
と説明されたとします。
ここで、
「そうですか」
で終わらせないことが重要です。
確認したいのは、
「どのような理由で、いくら下げるのか」
です。
例えば、
- 現在の借上賃料はいくらなのか
- 減額後はいくらになるのか
- いつから変更されるのか
- 減額の理由は何なのか
- 周辺相場をどのように判断しているのか
- 契約書のどの条項が根拠なのか
- 今後もさらに見直される可能性があるのか
などを確認します。
特に重要なのが、「減額後の金額の根拠」です。
「相場が下がった」という説明だけでは、その金額が妥当なのか判断できません。
「周辺相場が下がった」は本当なのか?
例えば、月10万円だった借上賃料を、
「現在の相場を考慮して8万円にします」
と提示されたとします。
このとき、
「本当に現在の相場は8万円なのか?」
を確認してみましょう。
同じ地域の物件でも、賃料は一律ではありません。
駅からの距離、築年数、間取り、広さ、設備、建物の状態などによって変わります。
そのため、
「近隣の物件が8万円だから、この物件も8万円」
と単純に比較できるとは限りません。
可能であれば、現在募集されている類似物件などを自分でも確認しておきましょう。
ただし、募集価格と実際の成約賃料は同じではないため、インターネット上の募集情報だけで「適正賃料は○万円」と断定するのも避けたほうがいいでしょう。
次に確認したいのが「契約書」
減額を提示されたら、契約書も確認します。
つまりサブリース会社とあなたとの契約書です。
『定額家賃保証契約書』などと題字がなっていることが多いです。
そこで特に見ておきたいのは、
賃料改定に関する条項です。
例えば、
- 何年ごとに見直すのか
- どのような条件で改定されるのか
- 改定方法はどうなっているのか
- 更新時に賃料が変更される可能性があるのか
- 中途解約についてどのような規定があるのか
- 違約金などが設定されているのか
などです。
「家賃保証」という営業上の説明だけではなく、実際の契約書に何が書かれているのかを確認してください。
ここは非常に重要です。
「○年間固定」と言われていた場合はどうする?
もし契約時に、
「10年間は家賃固定です」
と説明されていたのであれば、なおさら確認が必要です。
「固定」という言葉だけで判断せず、
何が固定されているのか
を契約書で確認します。
例えば、
「借上賃料が10年間固定」
なのか、
「一定の条件のもとで10年間固定」
なのかでは意味が違います。
また、固定期間が終了した後にどうなるのかも確認しておく必要があります。
10年間固定だったとしても、
11年目から突然どうなるのか
が分からなければ、長期的な投資収支は判断できません。
ここで一度「最初の家賃」に戻って考える
減額を提示されたとき、現在の家賃だけを見るのではなく、
契約当初の借上賃料がいくらだったのか
も確認してください。
例えば、
10万円 → 8万円
に減額されたとします。
普通なら、
「2万円も下がった」
と考えるでしょう。
もちろん、それは重要な問題です。
しかし投資家としては、
「そもそも、最初の10万円はどうやって決まったのか?」
という疑問も持っておきたいところです。
周辺相場から見て妥当だったのか。
物件の実力に見合った家賃だったのか。
投資の収支計画では、その10万円がどの程度重要な位置を占めていたのか。
ここまで遡って確認すると、単なる「家賃が2万円下がった」という話ではなくなります。
減額後の収支を必ず計算する
減額を提示されたとき、法律や契約の問題ばかり調べてしまいがちです。
しかし、投資家にとってはもう一つ重要な数字があります。
減額後のキャッシュフローです。
例えば、
借上賃料:10万円
ローン返済:8万円
だったものが、
借上賃料:8万円
ローン返済:8万円
になれば、ローン返済だけで余裕がなくなります。
さらに、
- 固定資産税
- 修繕費
- 管理費
- 保険料
- その他の維持費
などがあります。
そのため、
「2万円の減額」ではなく、「減額によって投資全体がどう変わるのか」
を見る必要があります。
さらに家賃が下がった場合も計算する
ここで一度、もう一段厳しい条件でも計算してみます。
現在の借上賃料が8万円になったとして、
「これ以上は下がらないだろう」
と考えるのではなく、
7万円なら?
6万円なら?
と計算してみます。
もちろん、将来の賃料を正確に予測することはできません。
しかし、
「家賃があと1万円下がったら赤字になる」
「2万円下がってもまだ耐えられる」
では、投資家としての判断が変わります。
重要なのは未来を当てることではなく、
どこまで家賃が下がると投資計画が苦しくなるのかを知っておくことです。
減額を提示されたら「受け入れる・拒否する」の二択ではない
ここまで確認すると、減額を提示されたときに取れる行動は、
「受け入れる」
「拒否する」
だけではないことが分かります。
例えば、
「減額の根拠を確認する」
という段階があります。
そして、
「提示された金額について協議する」
という選択肢もあります。
重要なのは、根拠が分からないまま、
「仕方ないので承諾します」
としてしまわないことです。
逆に、契約内容や相場を確認しないまま、
「家賃保証なんだから絶対に認めない」
と決めるのも適切とは限りません。
まず事実を集めます。
サブリース会社に確認しておきたいこと
減額の話をされたら、例えば次のような点を確認してみましょう。
減額の理由
「今回、賃料を減額する理由を具体的に教えてください」
減額後の金額
「減額後の借上賃料はいくらになりますか?」
金額の根拠
「その金額は、どのような資料や基準から算定されていますか?」
周辺相場
「近隣の同程度の物件の賃料をどのように評価していますか?」
契約上の根拠
「契約書のどの条項に基づく変更でしょうか?」
今後の見直し
「今回の減額後も、さらに賃料が見直される可能性はありますか?」
このように質問を具体化すると、
「家賃が下がります」
という一言だけでは見えなかった部分が見えてきます。
「減額を提示された=サブリースは失敗」ではない
ここも冷静に考える必要があります。
家賃が減額されたからといって、必ずしもその物件が投資として失敗したとは限りません。
例えば、減額後でも十分なキャッシュフローが残るのであれば、投資を継続できる可能性があります。
反対に、わずかな減額でローン返済が苦しくなるのであれば、投資計画そのものに問題がないか考える必要があります。
つまり、
「いくら下がったか」だけでは判断できません。
見るべきなのは、
「減額後の条件でも、この投資を続けられるのか」
です。
もし減額に納得できなかったら?
減額の根拠を確認しても納得できない場合は、そこで初めて、
「この減額を受け入れるのか、協議するのか、拒否するのか」
を考えます。
サブリース契約では、賃料減額について借地借家法32条との関係が問題になることがあります。
そのため、
「契約書に10万円と書いてあるから絶対に10万円」
とも、
「サブリース会社が減額すると言ったから必ず8万円」
とも、一律には判断できません。
契約内容や個別事情によって結論が変わるため、金額が大きい場合や契約解除などが絡む場合には、弁護士などの専門家に契約書を確認してもらうことも検討したほうがいいでしょう。
まとめ|減額を提示されたら、まず「根拠」を確認する
サブリース会社から家賃減額を提示されたとき、最初にするべきことは、
「受け入れるか、拒否するか」を決めることではありません。
まず、
- なぜ減額されるのか
- いくら減額されるのか
- その金額の根拠は何なのか
- 契約書には何と書かれているのか
- 現在の周辺相場はいくらなのか
- 契約当初の借上賃料はどうやって決まったのか
- 減額後の投資収支はどうなるのか
- さらに家賃が下がった場合はどうなるのか
を確認してください。
そして、ここまで調べたうえで、
「この減額は受け入れるべきなのか」
を判断します。
サブリースの家賃減額で本当に怖いのは、単純に家賃が下がることだけではありません。
家賃が下がったときに初めて、自分の投資計画がどれだけその保証家賃に依存していたのかが分かることです。
だからこそ、減額を提示されたときは「2万円下がった」という数字だけを見るのではなく、
「なぜ下がったのか」
「その金額は妥当なのか」
「下がった後も投資は成立するのか」
まで確認することが大切です。
そして、もし減額そのものを受け入れられないのであれば、次に問題になるのは、
「では、減額を拒否したらどうなるのか?」
ということです。