大手は審査が厳しいのか?
部屋の入居審査は、管理会社によって変わってくることがあるんです。
特に、大手の不動産屋の方が入居審査は厳しくなりやすい傾向にあります。
それはどのような理由かを見ていきたいと思います。
入居審査が厳しい理由
物件の価値で勝負
大手の不動産屋、ここでは具体的には示しませんが、物件のみの価値は、もちろんですが不動産賃貸の市場において、全てにおいて中小の不動産屋に比べて有利だということなんです。
それはその企業のブランディングのための広告料がケタ違いということです。
CMなどの媒体で広告をすると間違いなく知名度は上がり、全国的に有名な不動産屋になることになります。
集客力は他に比べて圧倒的に強力です。
世の中の不動産屋の90%以上は零細企業です。この資本力に敵いません。
このことが全ての項目でプラスに働くのです。
そして、入居審査の厳しさにつながるのです。具体的に見てみましょう。
物件仕入の優位性
例えば資金力のある企業であれば物件を仕入れることも、大家さんから募集や管理を依頼されることについてとても有利に働くのです。
管理物件数特に、新築物件の仕入れはとても有利です。
中小企業が新築を仕入れる時は条件的に厳しいことが多いです。
どちらかと言えば、地元の不動産屋で大家と昔からつながりがあるなどの例外を除けば仕入れに大手と競合になった場合かなり厳しいのです。
中小はその残り物の中で選ぶしかありません。
これは、売買の物件にも言えるところがありますね。
有能な人材が集まる
大手の不動産屋は新卒から採用をすることができます。
何十年前は高卒、専門卒もいましたが、今は学生も少なくなり、大学進学率も上がっているので四年制大学卒の人材が多く採用されているのです。
人事部がキチンと組織され計画的に優秀な人材が採用できるようになっています。
不動産業界全般で言えば非常に学生を新卒で採用することが難しくなり、特に深刻です。
不動産業界は未来が前途多難と言われていますし、若者の仕事に対する位置付けも変容してきているからです。
また、より将来性のある業界に人材が流れてしまっていることもあります。
特に、中小の不動産屋では給料など破格の条件でないと採用は厳しくなっています。
ですが、その中でも大手の不動産屋は安定して優秀な人材が集まるということです。
新卒に限らず若い優秀な人が大量に採用できれば競争が働き、社内の活気やアイデアも斬新なものがでてきますから、サービスの質が停止したままということがありません。
管理の体制の質
物件の価値を高めるために管理会社は、より入居者に満足してもらえる管理体制を強化しています。
24時間365日の管理体制をうたった管理会社が当たり前のようになってきました。
しかし、中小の不動産屋はどうでしょうか。そこまでのアウトソーシングに回す資金力がありません。
また、中小に比べて大手不動産屋は一般的に社員数が多く管理のための仕事の分業がきちんとできており、より細かいサービスができるようになっています。
融通は利かないともいわれますが、大手の不動産屋の方がより管理体制は質の高いものと一般的には言えます。
大手に群がる業者
大手不動産屋と取引するのは想像以上に大変なことなのです。
膨大な管理物件量がありますから、取引できればビジネスとして拡がりますし、特に大手不動産屋との取引はその会社の箔が付くのです。
多岐にわたるサービスの受け皿となれるのも社員数の多い大手不動産屋の特徴です。
また、色々な業界の営業が来ますから、その有り余る営業の中でよりいいサービスを選択することができるのです。
賃貸物件に住む入居者を対象としたビジネスは他業界においても魅力があるのです。
不動案屋も事業として成り立つのであれば他に委託するのではなく、自分のところで立ち上げてもいいのです。
自由で創造的な仕事ができる可能性が高いのです。
それに比べて中小企業はいいサービスと思っても肝心なお金と従業員の量が圧倒的に足りないのです。
だから、管理の最低限の業務以外のプラスアルファのサービスは手がなかなか出しづらくなります。
社員の仕事の内容や質
不動産屋の多くは大手のやり方に合わせてシフトしていくことになります。
意識が低い不動産屋は、昔から変わらないやり方で甘んじているところがおおいです。
そのギャップに驚くことがあります。
大手の不動産屋は、法務チェックをする法務部が社内に組織されていますから、法令順守はもちろんのこと、法改正の対応も迅速におこなえるシステムが備わっているのです。
そして、そこで働く社員にも共有される仕組みがあったり、社内研修なども随時行ったりして、単に利益追求に走ることがありません。
もちろん、それ以外の不動産屋も法令順守はされていますが、やはり大手の組織にはかないません。
大手の不動産屋は物件の商品に付加価値を付けブランド力を高めより安定した良質な入居者が集まるようになっているのです。
広告宣伝に投資
どの駅でも大手の不動産屋は駅前にあります。
この店舗展開は店舗開発部隊がしのぎを削っているのです。
中小不動産屋も大手から流れてくるお客様を拾えるようその不動産屋の近隣に構えることも少なくありません。
また、一昔前の不動産屋とは全くイメージが違う店舗内の内装や物件を探索する端末システムなども比較にならないと思います。
また、広告に充てる費用は、ケタ違いです。テレビCMはもちろん、各媒体の広告費用をものすごく欠けているのです。
その会社の全体の広告費そして、各店舗に割り当てられる広告費は中小の不動産屋がきいたらびっくりすると思います。
最近は、芸能人をイメージキャラクターに起用していますから、より法令順守など気を使っているのです。
昔は不動産屋の汚いイメージから芸能人がテレビCMに出ることはありませんでした。
内輪で作ったようなチープなものしか無かったのですが、今では一線の芸能人がいますから、変わったものです。
資金をかけた強者の戦略
知名度がある不動産屋というのは、オーナーさんやお客さんからの両面から間違いなく集客力もありますので物件数や物件の質、そしてお客さんからの反響数や来店数は桁違いということです。
そして、良質なお客さんというのは、物件の質だけでなく、管理の質なども求める傾向にありますから、そういうお客さんは自ずと集客できることになります。
ということは、多くのお客さんをふるいにかけることができるわけです。
だから、大手不動産屋の入居審査は厳しい感じがするのです。
そして家賃も少し高いかもしれません。
簡単には家賃を下げたりしないのも大手不動産屋の特徴でもあります。
もちろん、物件個別にも差がありますが、それでも総じて最低ラインというのは決まっているでしょう。
一方、中小の不動産屋というのは、その大手から流れてきたお客さんが多くなる傾向にあり、入居審査も緩くしなくてはならない現状にあります。
イメージに影響される行動心理
皆さんも、おそらくお部屋探しをする時地元の不動産屋にも行くけれど、お店で選ぶとしたら、とりあえず誰もが知っている不動産屋に行くのではないでしょうか。
これは、なぜでしょう。
あの芸能人がCMに出ているからきっと安心だろうとか、より高いサービスをしてくれるに違いないとかそういう理由が多いのではないでしょうか。
それだけイメージというのは重要なのです。特に胡散臭いと言われているこの不動産業界のことですから、イメージというのはより重要なはずなのです。
ネット時代になってからはよりコンプライアンスの徹底の重要性がわかっていると思います。
大手はもし問題があれば真っ先に批判されるこのような宿命も同時に持ち合わせているからです。
オーナーさんもそうでしょう。有名な不動産屋に頼むことはしなくてもどんな管理をしてくれるのかをネットで見るのではないでしょうか。
これが、多額の広告費や優秀な人材を採用することによりブランド力を高めてきた結果であり、人がこのような行動をとる傾向にあるのを見ると、やはり、物件も人材もサービスも大手に敵わなくなるということです。
だから、大手不動産屋はお客様を選べる可能性が高いということすなわち、入居審査を厳しくしてその物件に住む入居者の質さえもブランド化できるわけなのです。
中小企業はこのような大手不動産の下で、いかにうまくパラサイトするかが、生き残るための現状なのです。