解約受付で損をしない方法は?
みなさんこの記事をみてピンと来たということは、この時点では合格です。
なぜなら、賃貸契約の解約で『損をする』ポイントの存在に気が付いているからです。
わたしは、何を隠そう元不動産屋で毎日ノックのように解約受付をしてきた者でございます。
大抵の不動産屋というのは、どの社員も解約受付をするもんなんですが、私が勤めていた所はなんと解約受付を一人でやるという変わったところでした。
しかもそこそこ大きな管理会社でしたから、この時期、東京都で一番解約受付をしていたのはワタシなのではないか?と思ったほどです。
そして、不動産屋というのは解約受付ばかりではありませんから、それ以外の業務も相当あったので、かなり大変でいつも声を枯らしてしまっていましたね。
賃貸で解約手続きというのは最もトラブルが起きやすい危険ポイントであることをご存じですか?
そのトラブルというのは、定番の『お金の損得』の問題なのです。これには訳があって、
- 賃貸契約で説明したことが退去時点で忘れられている。
- 入居時に浮かれていてほとんど理解していなかったが気にしていなかった。
- まさか、解約の手続きがこんなにも厳格に遂行されるなんて思いもしなかった。
ことが挙げられます。
退去するときにお客さんも不動産屋もこんなトラブルで嫌な気持ちをしたくないのはお互い様なのです。
だから、こちらをじっくりお読みいただきトラブルもお金の損もしないようにしてほしいと思います。。
部屋の解約時に必ずすべきこと
借りているお部屋を引越するときには、必ずその解約の意思を伝えなくてはいけません。
しかもただ意思を伝えるだけではダメで各所にポイントがあります。
大切なことはいくつかあります。
- 事前に連絡をすること
- 解約受付をする窓口にすること
- 解約予告の存在
- 解約通知書の書式
- 解約日と退室立会日の違い
先ほども言いましたが、部屋を解約するなんていうのは適当にやると自分が損します。
念には念を入れて行うことがとても大事です。面倒くさがってはいけないということです。
中には、

なんていう人がいますが、結構誤解をして、勝手な解釈をしてしまったがためにとんでもなく損をしてしまう人も多いのです。
事前に解約手続きの流れを問い合わせる
もし引越しをする予定が前から決まっているとしたら、ラッキーですよね。
引越というのは急な転勤なんかで慌ててするなんていうことはよくありますからね。
この問い合わせというのは、解約受付をする時期にということではありません。

ということを連絡するということです。これをするだけでトラブル危険度はグッと下がります。
この問い合わせをするのは、管理会社になることが多いです。
賃貸契約期間中に入居者の窓口になっていたところと言えばよいでしょうか?
この管理会社と一口に言っても、きちんと契約書の規定通りに行い全く融通が利かないところもありますし、多少融通が利くところもあるかもしれません。
ただ今、融通と言いましたが決して不動産屋が悪いのではありません。大家さんの代理で受け付けていることもありますからあくまで中立であるということです。
この時、契約書に記載があり説明がされている以上、知らないとか、忘れたとかいうのは通用しないのです。
解約の意思があるのは、連絡してもらうまで管理会社はわからないのです。だから事前に解約の流れを聞くことは重要です。
どんなに前であろうが、管理会社は説明してくれることと思います。
適切な窓口に解約を受付をすること
もし事前に解約の流れの説明を受けているのであればそこまで注意することはないですが、いきなり解約受付をする場合は気を付けてください。
まず解約受付をする窓口を間違えないようにすることです。
ほとんどの人は大丈夫なのですが、中には入居中に一度も管理会社に連絡したことがない、または意識したことがない人が
お部屋を紹介してもらった仲介業者に連絡をしてしまうことです。仲介業者も親切に代わりにしてもらえるかもしれませんが、これはしないでください。
必ず借りている物件の管理会社、または物件によってですが大家さんに連絡することです。
これは、入居中に何かトラブルが起こった時の管理窓口が受付をします。賃貸契約書や需要事項説明書もしくは、わかりやすく別紙で書き出してくれている書類があるかと思います。
仲介業者に連絡を任せると人伝えの説明で思わぬトラブルになることがあります。どんなに忙しくてもこの受付は契約者本人がするべきです。
そして、電話連絡をしたのちに解約通知書という書類の提出が必要になります。
もちろん、手続き上は通知書の郵送をすれば連絡は不要ですが、早めに解約受付をしてもらいたいときは電話で仮受付をしてくれる管理会社が多いのでまず連絡をしてそのあと書類を送りましょう。
そうすれば解約通知書が不達のときに連絡をくれるかもしれません。ただ通知書を送った時には到着予定の頃に連絡が管理会社から来なければ、一度確認のために到着の連絡をしておいたほうが無難です。
中にはこの解約通知書の到着を持って受付日とするところもあるようですから気を付けたいところです。
解約手続きの肝。解約予告とは?
『解約予告』という4文字で私は何度も何度も嫌な思いをしてきました。お客さんから怒鳴られたり、無理な交渉をされ大家さんと板挟みになったりトラブルの元がこれなのです。
解約予告というのは、簡単に言えば
解約するときには前もって言ってほしい。なぜなら、いきなり『明日引越しします。』だと次の入居者の募集もあるから。by貸主
ということなのです。ただどんな契約にも解約するには予告期間というものがあって何も賃貸に限ったことではありません。
賃貸の場合この解約予告は1か月ないし2か月というところが多いです。
特に2か月の場合解約予告を忘れていると、もし引越しの直前に連絡をしてもその受付日から2か月分の家賃がかかってしまうことになるのです。
1か月であればまだしも、2か月前であればとんでもない大出費となります。
だから賃貸契約書を早めに確認しておくのはもちろん、管理会社によっても多少手続きに違いがあることを見込んで一応確認の連絡をするのが基本なのです。
今までの管理会社はこうだったとか、普通常識的にはこうでしょという理屈では管理会社は聞く耳を持ちません。
何しろこの解約予告というのは、貸主の利益を放棄することに直結するからです。
たまにお客さんの中で早く解約したほうが、繁忙期に募集できるからいいですよね。という交渉をする方もいますが基本NGです。
わたしは管理会社に複数いましたが、中には学生専用マンションなんかですと一律で3月末までに解約を区切るところもありました。
解約通知書の書類について
解約通知書というのは、基本的にその管理会社が作成したひな型を用意してくれていることが多いです。
解約の受付をしてそのあとに管理会社から返信用封筒をつけておくってくれるところもあれば、契約時に解約通知書のひな型を渡してしまうところもあります。
前者であれば問題ないのですが、解約通知書を紛失してしまい、管理会社から自分で作成してくれと言われてしまうこともあるかもしれません。
また急いで受け付けてほしい場合には自作して速達で送らなくてはいけない状況もあるでしょう。
その時に解約通知書に盛り込まれていなくてはいけないものがあります。
以下の通りです。
- 解約通知書というタイトル
- 解約受付日(通知日)
- 物件の所在地
- 物件名及び部屋番号
- 連絡先
- 契約者の署名捺印
- 解約日
- 立会日時(必須ではないが一般的に存在)
- 敷金の返金銀行口座
- 退去後の連絡先
- その他
これらは解約通知書の役割をなすのに必須のものから、オールインワンの書類として作成されているものもあります。
この中で必ず必要な項目は1~7です。8も必要と言えば必要ですがこの時点でほとんどの方は決まっていないのではないでしょうか?
立会日時は解約受付が2か月前の場合などは受け付け時に確定することを求めるケースは少ないはずです。
誤解の温床。解約日と引越日と立会日
お客さんの中でこの解約日と引越日と立会日がごちゃ混ぜになってしまっている人がいます。
この中で解約手続きの中で重要な順番をいえば
1位 解約日
2位 立会日時
3位 引越日
となります。
順を追って説明していきます。
解約日とは何か?
解約日とは、文字通り賃貸契約の最終日です。この日までにあなたは部屋を明け渡さなくてはいけません。
つまり引越をして退室の立会ができなくてはいけません。それを見込んで設定するようにしましょう。
多くの場合、最終の家賃発生もこの日となりますが、まれに退去月は日割り計算をしない場合があります。
立会日時とは何か?
立会日とは、退室立会日と言って多くの場合、管理会社の担当者または内装屋さんを兼ねた立会業者がお部屋に訪問して部屋の使用状況をチェックして
その使用状況によっては請求するための見積をつくるための日です。そして同時に鍵の返却やその他備品や取扱説明書などの返却をすることになります。
立会日時を設定するときは、引越業者が荷物を全て搬出する日とその時間を加味して決めましょう。
一般的に引越日と同時に設定するのがいいですが、繁忙期などで時間が不安定の場合、翌日に立会をするほうがトラブルにならないで済みます。
立会の時間が過ぎても引越が終わっていないときは、担当者も次の立会の予約がありますのでその日に立会ができない場合があります。
こうなった場合は管理会社の対応は様々ですが、後日立会日の設定をするか、不在立会をやむを得ずすることになります。
厳しい管理会社ですと、立会日までの家賃が必要になることもあります。なぜなら、鍵の返却がなされていないからです。
よって引越業者と立会担当者のスケジュールはお客さんが間に立って組まないとあなたに負担が回ってきてしまいます。
引越日とは何か?
引越日はそんなにわからないことはないと思いますが、管理会社にとってそこまで重要ではありません。
要は引越日を調整して退室立会日時が適切に設定していればあなたがいつ引越しても構わないのです。
よって解約日と立会日と引越日が同日の場合もあったり、違うこともあるのです。
違うとしても、早い順から引越日、立会日、解約日ということになります。解約日は家賃がかかる最終日ですから、それよりも引越が遅くなることは考えられません。
解約手続きで損しないためのベストな方法
ここからは、解約手続きで損をしないためにどのような段取りがベストなのかについてお話していきます。
まず今まででわかると思いますが、とにかく引越日が解約予告よりも前であることが前提となります。
もし、解約予告が2か月前で引越が1か月後の場合は、どちらが融通が利くか双方の不動産屋に交渉してみるのも手です。
ただ解約側の管理会社はなかなか交渉に応じてくれないのが普通です。
なので引越がもう少し先にならないかを検討するのが早いと思います。
この解約と新規契約の物件の間に生じるものがダブリ家賃と言われるものです。
これは、
解約予告
新規賃貸契約の家賃発生日
の間に生まれるもので解約予告は、貸主としては、わざわざお客さんの都合にあわせることで損をしたくない。
そして新規契約する貸主は、1日でも早く家賃を発生してもらいたいのにお客さんの都合を100%聞いていたらきりがない。
数日だったらまだしも1か月なんて無理だという間に立ってお客さんが双方の家賃を負担することを言います。
これをいかに少なく、そしてベストなことはダブリ家賃が0で行くためには相応の準備が必要です。
まず、解約予告を知ったうえで解約受付をしますが、その時解約日までに新しい物件を契約していなくてはいけません。
となると自分がどのくらいで物件を探して契約することができるかを逆算しなくてはいけないのです。
ただし、お部屋探しに確実ということは残念ながら存在しません。
例えば、
入居審査の合否
部屋がなかなか見つからない。
想定外のトラブル
などが考えられます。
管理会社は解約受付をすると基本的には次の入居者を募集することが多いです。
もし入居者が決まれば、損害金を請求されることも考えられますし、延長を拒否されることもあるかもしれません。
よって特に繁忙期は多少のダブリ家賃が生じてもゆとりをもって引越をしたほうがいいのですが、もっとも無駄のない解約手続きは以下の通りになります。
解約予告が1か月の場合
まず解約予告をする。
その後、すぐに部屋を探し即入居できる部屋を解約日の2週間ぐらい前に決めて申し込みをする。
入居審査に順調に通過する。
新居の契約日を解約日の翌日にする。
そして何もトラブルがないことを祈る。
解約日の延長ができるかについて
解約日の延長ができるかについてですが、基本的には断られる可能性が高いと思っておいてください。
ただし、入居者が決定していないときは延長に応じてくれることが多いですが、解約日の設定はそれだけ慎重にしてください。
あまり考えずに設定して、延長に次ぐ延長、最終的には部屋が決まらず解約をキャンセルする人も結構います。
できる場合はいいのですが、これができずに想定外の出費を強いられる可能性があることを注意してください。
契約によっては延長家賃だけでなくその倍額を損害金として規定されているところもあります。
もし、予定通り進まない場合は、すぐ管理会社に相談することです。
管理会社だけの問題で収まらず、新入居者にまで迷惑が及ぶとどうにもならない事態になることがあります。
損をしない解約手続きのまとめ
もしダブリ家賃を少しでも減らしたいときは、
- 希望の部屋が予定通り決められるか?
- 入居審査に通過するか?
- 引越先の物件が確実に入居できるか?
の点で念入りに確認することです。少しでも自信がなければある程度部屋探しにめどが立ってから、
具体的に言えば入居審査に通過してから解約受付をするのがいいと思います。
1か月前予告であればこれが一番順当な流れだと思います。
また2か月前予告の場合は解約日にあわせて引越し先の契約ができるよう自分でスケジュールを調整をして何とか無駄のないように仲介業者に交渉してもらうのがいいと思います。